右利きだろうが、左利きだろうが万年筆を使いたい、楽しみたいという気持ちは変わりません。
しかし、左利きなら誰でも万年筆を使っていて以下のことを経験することでしょう。
- インクが掠れる。
- 書き心地が悪い。
- そもそもインクが出ない。
私も万年筆を始めた頃はなんとなく万年筆の書き心地が悪かったり、インクが掠れたりして充分に万年筆を楽しめない時期がありました。
インクが出るように工夫して書いているつもりでも、ペン先が曲がってしまったこともありました。
現在、万年筆を使い始めて10年が経ちました。多少の知識や経験が備わり、今ではどの万年筆でも楽しく使えるようなりました。
本記事は【万年筆歴10年の左利き】が自分の知識や経験、実際に行った検証を踏まえて左利きが直面する書けない(もしくは書きづらい)原因と対処法について、解説したものです。
本記事を読んで、一人でも万年筆を楽しめる方が増えたら幸いです。
私が初心者の方にオススメする万年筆はこちらです。↓
私が初心者ならこれを買う。【万年筆歴10年 左利きのおすすめ 3選】 | みつけのしろうさぎ (mitukenosirousagi.com)
~左利きでも万年筆は楽しめます~
書けない(書きづらい)原因は「ペン先の面」と「筆圧」の影響が大きいです。
この2つを意識すれば、万年筆の書きづらさが相当解消されます。
ネット上では筆記角度が書けない原因に挙げられます。
書き心地には影響しますが、筆記角度が原因で書けないことはありません。(少なくとも私は経験がありません。)
最後の1つは初期不良です。
これは私たちにはどうにも出来ません。万年筆の調整をしてくれるお店に行くと書き心地の良いように調整してくれます。
左利きの万年筆(モンテベルデ 修理・調整)書けなかった万年筆が復活 | みつけのしろうさぎ (mitukenosirousagi.com)
お気に入りの万年筆を買ったが、「全然書けない!悔しいどうにかしたい」方は相談、調整してもらうとよいかもしれません。
お金はかかりますが、万年筆を楽しむには一番の近道です。
ペン先の面:基本は上向きを意識する。
↑ペン先の面がほぼ上を向いています。
「ペン先の面が外側を向いている」と「ペンポイントが適切に紙に当たらず」結果的に「書けない」ということが起こります。
左利きだと、字を書く時に手首をこねて傾向にあります。そうするとペン先が外側に傾きやすく、上記のようなことが起こりやすいです。
最初は書けているけど、ペンを握りなおすうちに外側に向いてきて、書けなくなることもあります。
対処法:「ペン先の面は上向き、または多少内向き」
基本的には「ペン先の面は上向き、または多少内向き」を意識すると良いと思います。
万年筆によって上向きからやや内向きの範囲で書き心地の良いポイントが違うこともあります。
新しい万年筆を買った時は「ペンの面の向き」を少しずつ変えながら、書き心地の良いポイントを探すとスムーズに使えます。
ペン先の面(外向き)
適切な筆記角度、筆圧でも少し外側に倒しただけで書けなかったり、掠れたりします。
ペン先の面(内向き)
画像は分かりやすいように傾けましたが、ここまで傾けると書けません。
ペン先の面(上向き)
「ペン先の面の向き」少し意識してみてください。
ある程度筆圧が強くても書く事が出来ます。
持ち直すうちにペン先が内や外に傾いてくることがあるので、その都度直しながら書くと良いと思います。
筆圧:弱いほど良い。
↑実際に文字を書くと筆圧が150g前後になります。
筆圧は強ければ強いほど、書き心地が悪くなります。
私のボールペンの筆圧は150g(計りで測定した数値)です。この筆圧でそのまま万年筆を使うとガリガリと引っ掛かりとても書き心地が悪いです。
対処法:25g以下を目指す。
25g以下まで筆圧を落とすと書き心地が良くなります。以下、私の主観ですが筆圧別の感想です。
- 筆圧150g:紙を削って書いている感じ。引っ掛かりも多く、明らかにペン先がしなっている。(使用しているペンは硬いペン先で普通はしならない)
- 筆圧100g:ペン先はしならないが、筆記時にかなり抵抗を感じる。
- 筆圧50g:紙にペンを当てている感じ。筆記時に抵抗はあるが、「筆圧100g」程ではない。
- 筆圧25g:紙にペン先を置く感じ。書き心地も良い。
計りを使いながら、書き心地の良いと感じる数値まで筆圧を落としていくと、だいたい25gぐらいでした。
25gからさらに筆圧を弱めれば書き心地はよくなります。
筆圧を弱めるのは練習や慣れが必要です。
しかし、筆圧が強くても万年筆が使えない訳ではないので、万年筆を楽しみながら練習して慣れて頂ければと思います。
筆記角度:あまり影響なし。
筆記角度は筆圧が強い方に限って、書き心地が悪くなったり、インクが掠れたりします。
筆圧をコントロールできる方は、筆記角度が原因で書けない、あるいは書きにくいことはあまりないと思います。
対処法:とりあえず寝かせてみる。
ストレスにならない範囲で万年筆を寝かせる書き心地が良くなります。ただ、不快に感じるぐらい無理に寝かせる必要はありません。
ペンが寝れば寝るほど、書き心地が良くなるのも事実です。
無理のない範囲で寝かせてみて下さい。
おまけの検証:どんな持ち方、筆記角度でも万年筆は書けるのか。
3通り(書き方)×2通り(筆記角度)=6通りを検証。
紙はコクヨのキャンパスノート、万年筆はセーラーのヤングプロフィット(字幅は細字)
↓書き方:3通り「横から」「上から」「下から」
↓2通りの筆記角度:90度(直立)とだいたい60度の筆記角度。
検証した結果:筆圧が強くなければ、筆記角度90度でも書けました。
ただ、筆記角度90℃より寝かせ気味の方が書き味は良いですし、筆圧が強いと「ガリガリ」「カリカリ」とした引っ掛かりが多いです。
なので、無理に寝かせることはありません。自分なりにできる範囲で寝かせ気味の筆記角度で書いたら良いと思います。
↓筆圧はだいたい25gぐらいです。(キッチンの計りで計測しました)
↓下から3段目と下から7段目の掠れている線は「筆記角度90度(直立)」+「筆圧150g」です。
初期不良:専門家へGO
初期不良の万年筆はどう頑張っても改善できません。
そこそこ高い万年筆なら、調整してくれるお店やペンクリニックへ行くことをオススメします。
また、万年筆が書けない、書き心地が悪いなど相談にいくのもアリだと思います。
実際に万年筆を見ながら、その方の持ち方を合わせて調整してくれます。
今までの対処法は自分の書き方を万年筆に合わせていく方法でしたが、万年筆を自分に合わせるというのも1つの方法です。
私は1本この方法で劇的に書き心地、使い勝手が改善しました。
まとめ:自分の書き方を基本に万年筆向けに修正する。
基本の「ペンの向きは上向き」は必須。
それ以外は筆記時に「ストレスにならない程度」に寝かせて、筆圧を弱めて書いてみると良いと思います。
自分なりに気持ち良く書ける筆記角度、筆圧の強さ、ペン先の面の向きがあると思います。
心地よいポイントを探すため、角度を変え、強さを変え、面の方向を変え、試行錯誤していくうちに万年筆向きな書き方を習得しています。
多少の不便の違和感、不便は楽しむぐらいの大らかな気持ちで万年筆に付き合うとストレスも少なく万年筆を楽しめるかと思います。
最後は精神論ですが、多少の不便は受け入れて楽しむという寛大な気持ちを持たせてくれるもの、万年筆の良いところです。
こちらに載っている万年筆は現在私が使っている万年筆です。修理・調整したものを除いて、楽しくしっかり書けています。↓
左利きの万年筆レビュー まとめ図鑑 | みつけのしろうさぎ (mitukenosirousagi.com)
そのなかで初心者の方にオススメするのはこちらです。
私が初心者ならこれを買う。【万年筆歴10年 左利きのおすすめ 3選】 | みつけのしろうさぎ (mitukenosirousagi.com)
ここまで読んで頂きありがとうございました。万年筆好きな方、これから万年筆を始める左利きの方、「書けなくて」困っている方の役に立てば幸いです。
みつけのしろうさぎ
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